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中小企業のための労務管理入門
このページでは、早稲田大学商学学術院の小倉一哉教授の講義を取り上げていきます。テーマは「労働時間管理」。
まず、残業が生じている背景を分析した上で、残業を抑えるにはどうすればいいか、という内容でした。
以下、講義の骨子をピックアップしていきます。
ビジネスが拡大し、仕事が増えた場合、二つの対応方法がある。
①労働人数の調整
②労働時間の調整
もし、仕事が緩やかに増えるなら、人を多く雇い、「①労働人数」を増やすこともできるが、急に増えた場合、残業などの「②労働時間」を長くして対応する方がやりやすい。
逆に、不景気で仕事が減ってしまった場合、「①労働人数」で調整する場合、失業者を出すことになる。ここ数年、非正規雇用を増やしたのは、雇用量の調整をしやすくするためだった。
一方、「②労働時間」で調整すれば、失業者を出さないですむ。どんなに不景気でも、日本が失業率5%未満で済んだのは、「②労働時間」で雇用量の調整をしてきたからといえる。
つまり、日本では、「残業」も一定の役割を果たしてきた。
そして、日本人の働き方自体が、長時間労働を前提とするものになっていた。
日本の家電メーカーが凋落したのは、新しいマーケットに高機能・高付加価値製品が受け入れられなかったという背景がある。
また、日本のサービス業は、労働生産性が低いと言われている。日本人のサービスは、仕事の丁寧さや顧客満足度では世界トップクラスのはずだが、数値として測定されていない。
このように、日本人は、高い品質のサービスを提供しているが、それも長時間労働による産物ではないか。
残業への対症療法的な対策として、ノー残業デーの設置、強制消灯などは一定の効果がある。
しかし、根本的な対策としては、仕事の仕方自体の見直しが必要となる。
だが、日本は現在、低価格のサービスの競争が激化し、消費者が少しでも低価格の製品、サービスを求める傾向にある。企業もそのニーズに応えようとすることで長時間労働を誘発してしまう。このような状況から、日本は長時間労働から抜け出すのが困難な状況になっている。
もはや消費者が低価格のものを一斉にやめない限り、この状況を変えるのは困難ではないか。企業としては、サービスの質を落とさずに、労働時間を減らす工夫が求められる。
【講義を聴いて】
結局、労働時間を減らすのは一筋縄ではいかず、簡単ではないとのこと。効率化も一つの解決策といえるでしょう。また、仕事の時間単価を上げていくことも重要です。そのためには、仕事の質を高め、ブランド価値を高めていくことも重要な解決策となります。(岩﨑)